はいはい、メリーメリー。
では、クリスマスの思い出話を一つ。
小学生の時、こども会の秋の遠足に行ったその帰り道で、
Tくんが 『 サンタクロースはホンマにおるよ 』 と言うのでした。
フィンランドかどこぞの精一杯のリアル系サンタクロースのことではありません。
子供にとって夢のように都合のよい何でも屋のサンタのことを言っているのでした。
当時私たちは、小学生とはいえ5年か6年生だったはずです。
こいつ、マジか?めんどくさいことになるぞ!不穏なムードが漂いました。
聞けば、サンタを見た、とまで言うのです。
『 それ、お父さんやって 』 誰かが言いました。
しかしTくんは譲りません。その点は検証済みらしいのです。
そして 『 お前ら、やり方知らんもんなあ 』 というふうな事を言うのです。
そこが決定的なのだと。
『 教えたるわ 』
我々に明かされた、Tくんだけが知る、サンタに何でももらえてしまう秘密の手続きとはこういうものです。
Tくんによれば、靴下に期待しているのは大きな間違いなのでした。そんなのはアマちゃんなのです。
家のベランダに、24日の深夜に欲しいものを書いた紙を置いておく、ただそれだけでいいのです。
そうすれば翌日目が覚めた時には確実にその望んだモノがベランダに届いている、と言うのです。
ベランダ?お父さんがやりやすいだけなんじゃないのか?というふうな考えが
よぎりましたが、靴下でなくてベランダを介する味気ないやりとりが逆にプロっぽい、
というふうな印象を抱いたのも確かです。具で飾りたてないホンモノのうどん、効果です。
『 絶対間違いないからやってみろって 』 Tくんの笑顔が眩しい。揺るぎなさ過ぎる。
さて、無敵のTくんを前に我々はどうしたのか。
Tくんは信じ切っている、残念ながらアホだ。この先かわいそうだな、と思って家に帰ったのです。
しかしその冬のクリスマス・イヴの夜、私はこっそり、紙に何かを書いてしまったのです。
自分が欲しいものを何と書いたのでしょうか?それは記憶にないのですが、
はっきり覚えていることがあります。
私は、ついでに弟のぶんも書いておいてあげたのです。こういう時だけ優しい兄でした。
『 グローブ 野球がうまくなりますように。』 と、なぜか願掛けも。
私はかねてから弟が野球があまりうまくないのを気に病んでいたのです。
紙をそっと我が家のぶっ壊れて用をなしていないベランダに出しておきました。
そして翌朝早く、Tくんの言うことを信じていたワケではないのですが、
私はしかし少しの期待を胸に、窓をそーっと開けたのです。
すると紙が風に吹かれていました。あわれや少年、それだけだったのです。
私はアホらしくなりました。少し寂しかったのかもしれませんが。
その朝。そう時を違えずTくんはまたベランダで歓喜の雄叫びをあげていたことでしょう。
何も知らない弟は、その後、サッカーがうまくなりました。
最近知りました、これ。めちゃめちゃステキだ。
MATIAS TELLEZ / TAMIAS MELLEZ
↓
スポンサーサイト
- 2010/12/24(金) 13:12:23|
- 未分類
-
| トラックバック:0
-
| コメント:3